斎藤は耽けた。

日常で思いついた話とか、日記のようなもの。

流れ星及び白色矮星。

 

どうも、お疲れ様です。

年が明けましたね。2017年を終え新たに2018年が参りました。私は田舎へと帰り自然と餅を堪能していました。そういえば雑煮は年に1度しか作らないためにアレンジを加えることをしないので、入ってる具やだしでその家の由来がわかるらしいですね。ちなみに私の家はお雑煮は作りません。私の家系の出自は虚無です。よろしくお願いします。実存をしていきましょう。正月は私はほぼモバイル通信のみで生きていたのでインプットをほとんどしていないので話すことはありませんね。本は読みました。三秋縋さんの『恋する寄生虫』を読みました。よかったですよ。とてもよかった。恋物語なんですが、もうあれほど二人いちゃいちゃしてろと思う小説はないですよ。

 

もうこんなもんでいいんじゃないですか。本編ですよ。これは昔に書いたやつですね。

 

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もう何光年も走っている。
確かどこかの銀河系から出発してもうずいぶん経つから、かなりの長い距離だろう。
宇宙は暗くて怖いけれど、僕らが走った場所だけ明かりが灯る。悪い気分じゃない。
だけれど、走り続けるのは中々大変だ。
もう何人もの仲間が走り続けられなくなって光を失い消えていってしまっていた。
かくいう僕も走りたい気持ちはあってもどうにも身体が追いつかない。
次は僕の番かもしれない。
ある仲間が、走り続けられないとそのまま死ぬと教えてくれた。
つまり、生まれてから死ぬまで輝き続けられるから、走れなくなっても、醜くて情けない最後はなくて、英雄的に死ねる、という。
この話は僕がまだ先頭を走ってた頃に聞いた話で、当時は聞き流していたけれど、今ではその話だけが慰めだ。

今はアンタレスの横を走っている。煌々と赤く光る彼もまた最後が近いんだろう。少し親近感が湧く。
彼の最後も英雄的なのは間違いない。
超新星爆発
まるで新たな星が生まれているように見えるから付けられた、星の最後を示す名前だ。
死んでも尚英雄的なその様は、憧れだ。生まれ変わったらアンタレスのような大きい星になりたい。
白色矮星でも構わない。贅沢は言わないから、死ぬ時は英雄的に死ぬか、美しく死にたいと思う。
僕らのように取り残されて死ぬというのは、あまりに格好がつかない。唯一、最後まで光り続けられるというのだけが救いだ。


もうそろそろ足が動かなくなってきた。周りの、同じく最後が近い仲間に別れをいっておく。
その中には、僕に僕らの死について話してくれた奴もいた。
「ねえ、あの話覚えてる?僕らの最後。」
「ん?どんな話だっけ。」
「僕らは光を失うと死ぬって話。僕らは最後まで輝き続けて死ぬんだよね。」
「ああ、うん。」
「君がその話を教えてくれたから、僕は死ぬのが怖くないよ。」
「それは、よかった。俺も思い出せてよかったよ。」
段々、走り続けるのは難しくなってきた。最後に「じゃあ、またね。」と告げて光の帯の中から離れた。

自分が発する光とは別に前に大きな光がある。僕がさっきまでいた流れ星だ。
「ああ、早いなあ。」
あっという間に彼らは離れていってしまった。
まだ近くにいるんだろうけど、彼らが何光年も遠くへと行ってしまったように感じた。
僕は少しずつ光を失って、ついに単なる宇宙塵となった。まだ命は続いていた。
すぐそこに僕らが出発した銀河があるのが見える。

何光年なんて大層な数字じゃない。僕が走ったのはほんの少しだったんだ。光の中に居たせいで全然分からなかった。
皮肉っぽい笑みが溢れるのが分かる。
気付けば流れ星はもうかなり遠く離れていた。もう見えない。
僕の身体はといえば、もう真っ黒になっていて、そんな惨めな身体を抱いて、僕は仕方ないから宇宙の流れに乗って彷徨い始めた。

「光を失っても、生きていかないといけないなんてなあ。」
独り言は誰にも届かない。


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